Devilの教え
「昔、アスマと会った事があんのよ」

 アサミ先輩の口からゆっくりと言葉が吐き出され、少し緊張した。


 その(・・)事を知ってるだけに、どう反応していいのか分からず、ただ静かにアサミ先輩の次の言葉を待っていた。


「ちょっと自棄になってた時期だったんだけど、初めて会った時からアスマって何も話さなくてさ?」

「…………」

「結局会ったのは一回きりだし、何時間か一緒にいたってだけなんだけど、その間ずっと何も話さない、何も聞いてこない奴でさ? 名前すら聞いてこなかったのね」

「へ?」

「まあ、別にそれはいいんだけど。ってか、それはお互い様っていうか……お互い誰でも良かったんだよね。適当に遊べるならそれでいいって感じだったのよ」

「はあ……」

「そういうのって口に出さなくても雰囲気で分かっちゃうしさ。だから敢えてお互いを選んだ、みたいな?」

「よく分かんないです……」
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