Devilの教え
「そ、それって——」

「うん?」

「――それって、浮気ばっかりするって事?」

 話し掛けてくるのはスガ先輩なのに、あたしはこっちを見てない悪魔に言葉を投げ掛けた。


“元”彼氏と同じ分類の男だと分かったからか、敬語で話すのをやめたあたしに、悪魔の視線がゆっくりと戻ってくる。


 その動きすら(なめ)らかで艶めかしい。


「浮気はしねえ」

「え?」

「つーか、出来ねえ」

「は?」

「特定の女を作らねえから、浮気なんてもんはしたくても出来ねえ」

 声のトーンは怒ってる訳じゃないのに、酷く冷たく感じた。


 雰囲気が不気味で悪魔みたいだとかじゃなく、コイツは本当の悪魔だと思った。
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