Devilの教え
「も、もしかして、チョコレートって食べ飽きた?」

「んあ?」

 何となく間がもたなくて口にしたあたしの言葉に、悪魔は開けた箱からトリュフチョコレートを取り出し、それを口に放り込みながらあたしに目を向けた。


「チョコレート。いっぱいの女の人と付き合ってんなら、昨日いっぱい貰ったでしょ?」

「一個も貰ってねえよ」

「……一個も?」

「あぁ」

 モグモグと、あたしのチョコレートを食べる悪魔が「甘え」と呟く。


「な、何で一個も貰ってないの?」

 そしてあたしのその言葉に目を細め、


「気持ち悪いだろ」

 形のいいその唇を動かす。
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