Devilの教え
スガ先輩が言うように、関わらない方がいいんだと、妙に脱力して踵を返し駅に戻ろうとしたその時、アスマが泣いてる女の人からスッと離れ、こっちに向かって歩いてきた。
それは決してあたしに気付いて近付いてきた訳じゃなく、どこからどう見ても泣いてる女の人に見切りをつけたって感じだった。
アスマが歩き出してすぐ、それに気付いた女の人がハッとしたように顔を上げる。
「待って! 行かないで!」
縋るようなその泣き声は、本来恋人や友達を待つというワクワクとした気持ちが充満する噴水の前に響き渡り、すぐ後ろにある駅ビルに反響して物凄く木霊した。
――なのに。
恐るべき悪魔は、振り返るどころか一切足を止めず、絶対に聞こえてないって事はあり得ないのに、本当に聞こえてなかったんだろうかって思うほどに涼しげな顔でこっちに向かって歩いてくる。
その目はあたしを見てなくて、あたしの遥か後方を捉えてる。
それは決してあたしに気付いて近付いてきた訳じゃなく、どこからどう見ても泣いてる女の人に見切りをつけたって感じだった。
アスマが歩き出してすぐ、それに気付いた女の人がハッとしたように顔を上げる。
「待って! 行かないで!」
縋るようなその泣き声は、本来恋人や友達を待つというワクワクとした気持ちが充満する噴水の前に響き渡り、すぐ後ろにある駅ビルに反響して物凄く木霊した。
――なのに。
恐るべき悪魔は、振り返るどころか一切足を止めず、絶対に聞こえてないって事はあり得ないのに、本当に聞こえてなかったんだろうかって思うほどに涼しげな顔でこっちに向かって歩いてくる。
その目はあたしを見てなくて、あたしの遥か後方を捉えてる。