Devilの教え
 何故か凄くドキドキした。


 ドキドキしすぎて心臓が痛くなった。


 息苦しさを感じたけど、深呼吸が出来なかった。


 顔を上げたい衝動を抑え、意味なく鞄の中を覗き、立っている足が震え出したように感じたその直後。


「あっ、お前。『巣穴』の女」

 斜め前でアスマの気配がピタリと止まり、その言葉が聞こえた。


――驚いたのはアスマがあたしに声を掛けてきた事と、あたしを覚えてくれていた事だった。
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