Devilの教え
「何キョドってんだ?」

 目以上に不審って感じの声を出す。


「キョ、キョドってるっていうか……」

「何だよ?」

「ア、アスマが泣かせたの?」

「何を?」

「後ろの人……」

 遠慮しながら、あたしがアスマの後方にある噴水の方を指差すと、アスマはあたしの指先を見るようにして振り向き「ああ、アレか」と小さく言葉を吐く。


 そしてすぐにこっちに向き直ると、


「勝手に泣いたんだ。知らねえ」

 面倒臭そうにそう言って、首を左右に揺らし音を鳴らした。
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