青い月は、春を待つ。
「俺も、手伝います!」
青倉くんはそう言うと、田んぼ三姉妹が残して行った書類を持って行こうとした。
「青倉くんが残業することないよ?わたし1人で大丈夫だから。」
「いえ!手伝います!毎日、残業してる春瀬課長を残して帰れません!」
青倉くんの口調は心強く、わたしはクスッと笑うと「青倉くんって、意外と頑固なんだね。」と言った。
「じゃあ、3分の1だけお願い出来る?」
「分かりました!」
わたしは田んぼ三姉妹が残して行った書類の3分の1を青倉くんに渡した。
青倉くんはその書類を持って自分のデスクにつくと、打ち込みを始めた。
静まり返る社内にキーボードを押すのカタカタ音だけが響く。
わたしたちの仕事が終わったのは、定時から1時間後のことだった。
「春瀬課長、俺の倍の量の打ち込みだったのに、さすがですね。」
「課長のくせに仕事遅かったら話になんないでしょ?」
「でも、杉井課長以外の他の課長たちは、、、。」
「あー、それ以上は言わない!あんなハゲたちと一緒にしないでよ〜。」
わたしがそう言うと、青倉くんは笑い、「すいません。」と言った。
「お腹空いたね。ご飯食べに行こうか。」
「はい!」
「この近くに"縁結び"っていう焼鳥屋さんがあるんだぁ。そこでいい?」
「焼鳥、大好きです!」
わたしたちはそう話しながら帰る支度をすると、会社を出て、焼鳥屋"縁結び"に向かった。