ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
1:さらば残念イケメンの婚約者
春の風が、私の亜麻色の髪を揺らす。
見通しの良い公園は、私が通う学園のすぐ近くだった。
その公園の四阿で、私は過去何度も目にしてきた光景を、またしても見せつけられていた。
「何度も言うが、俺がお前を愛することはない。俺が誰を愛そうと、文句を言うな。嫌ならこの婚約を破棄しても良いんだぞ」
目の前に座る婚約者は、傍らに彼と同じ金色の髪の美しい女性を抱き寄せながら、半笑いで口を開いた。
その瞬間、私はまるで地面が揺れたかのような大きな衝撃を受ける。
彼の言葉に、ではない。何故なら、彼が口にしたように、その言葉は何度も何度も耳にしてきたからだ。
脳の中心から体全体に広がるように受けた衝撃は、一瞬だけ立ちくらみのように私の重心を揺らがせる。
けれど、そのすぐ後にしっかりと大地を踏みしめ、婚約者の目を捉えた。
「な、なんだよ。いつもみたいに、辛気くさい顔で、小さな声で俯いて『かしこまりました、ハティス様。何も見ておりません。婚約を継続させてください』って言えよ。あぁ、ついでに『私のようなみすぼらしい娘が婚約者でいられるだけでも、幸せです』とでも付け加えて貰おうかな」
「やぁだぁ、ハティス様ったらぁ。ルイジアーナ伯爵家の忌み子のレダ様を、これ以上惨めにさせるなんてぇ。ふふふ。かぁわいそう」
見通しの良い公園は、私が通う学園のすぐ近くだった。
その公園の四阿で、私は過去何度も目にしてきた光景を、またしても見せつけられていた。
「何度も言うが、俺がお前を愛することはない。俺が誰を愛そうと、文句を言うな。嫌ならこの婚約を破棄しても良いんだぞ」
目の前に座る婚約者は、傍らに彼と同じ金色の髪の美しい女性を抱き寄せながら、半笑いで口を開いた。
その瞬間、私はまるで地面が揺れたかのような大きな衝撃を受ける。
彼の言葉に、ではない。何故なら、彼が口にしたように、その言葉は何度も何度も耳にしてきたからだ。
脳の中心から体全体に広がるように受けた衝撃は、一瞬だけ立ちくらみのように私の重心を揺らがせる。
けれど、そのすぐ後にしっかりと大地を踏みしめ、婚約者の目を捉えた。
「な、なんだよ。いつもみたいに、辛気くさい顔で、小さな声で俯いて『かしこまりました、ハティス様。何も見ておりません。婚約を継続させてください』って言えよ。あぁ、ついでに『私のようなみすぼらしい娘が婚約者でいられるだけでも、幸せです』とでも付け加えて貰おうかな」
「やぁだぁ、ハティス様ったらぁ。ルイジアーナ伯爵家の忌み子のレダ様を、これ以上惨めにさせるなんてぇ。ふふふ。かぁわいそう」