ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
「ギース様!」

 後ろから声がかかったかと思えば、ふわりと彼の匂いが私の体を包む。
 後ろから抱きしめられて──椅子ごと、だけど──頬にキスをされた。

「天気が良いな、と窓の外を眺めていたら、あなたが庭で何やら書き物をしているのが見えてね。ついつい声をかけに降りてきてしまった」
「それは……どうも……」

 それはあまりにも、私を甘やかしすぎなのでは?
 大丈夫? ギース様忙しいのでは?

「仕事はきちんと終わらせたよ」
「……私、顔に出てました?」
「わりとね」

 そんなことを言いながら笑う。
 手で隣の席を促すと、近くにいた侍女が素早くお茶を用意した。

「それで今度は何を考えていたんだい?」
「タウンハウスの侍女達を講師にして、領内の希望する女性に、マッサージの技術を身に付けさせようと思って」
「マッサージの?」
「ええ。そしてゆくゆくは……といってもそう遠くないうちにですが、マッサージをメインとした女性用のサロンを開くつもりです」

 その言葉に、ギース様は少し首を傾げる。
 あら、眉間に皺もよっていましてよ。
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