ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~

29:公爵領の宿屋跡01

 水色のワンピースは歩きやすい。それに、ドレスと違って軽いので体の疲労度が変わる。
 前世ではドレスなんて日常的に着なかったので、このドレスを日々着る生活は、なかなかに疲れるのよね。

「そういう格好も似合っていて可愛いな」
「……ギース様は本当に、以前が嘘のように饒舌になっていますよね」
「言葉は尽くさないと伝わらないからな」
「それは、まぁ、同意しますが」

 でも、やっぱりちょっと恥ずかしい。
 とはいえ、だんだん慣れてきている自分がいる。恐ろしいな……。

 今日はギース様と二人で、公爵領内の空き建物をチェックしにきている。
 ガラス工房とエステサロンに使える建物を探そうという狙い。
 なんだけど……。

「馬車で領内を一緒に回るのは初めてだ。これは言うなればデートだな」

 と、ギース様は妙に浮かれている。
 まぁ、そのくらい楽しみながら仕事をした方が、しかめっ面で働くよりもよっぽど良いよね。

 今は領内もまだまだ貧しいので、馬車も一番質素なものにしてもらった。
 お金がある時代に作った立派な馬車もあるけど、この状態の領内でそんなものに乗っていたら、反感買いまくりだもんね。
 それをギース様に伝えたら、感動してたけど。
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