ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
 いわゆる結婚式ができるようなホテルに仕立てる。
 それが、この宿屋跡の使い道だ。
 この目の前の階段だけで、いけそうな気がしてきている。

「中をもっと見てみたいです」
「うん。じゃぁこちらに」

 ギース様が右側の廊下に案内してくれた。
 この床も、キレイに磨き上げれば、味のある雰囲気が出そうだ。
 壁も今は少し汚れているが、掃除すればなんとかなるだろう。

 最初に案内されたのは、大広間。
 5、60人は入りそうな広さなので、披露宴会場にぴったりだ。

 庭に面して大きな窓があり、そこから外に出られるようになっている。
 式がない場合は、レストランとして使っても良いかもしれない。

「このガラス窓……」
「ああ。この領地のガラス職人の手によるものだな」
「すごい……」

 思っていた以上のクオリティだ。
 透明度も高いが、それに加えて、数枚に一度入っている飾り模様はまるで切り子のよう。
 こんなにも高い技術があるのであれば、やはりぜひ職人の皆さんにはもどってきていただきたい。

「客室も見てみたいです」
「うん。二階に行こう」

 例の階段の他にも、通路の奥などに階段があり、そちらも以前は大切に使われていたのだろうということがわかる、どっしりとした作りのものだった。

 階段をゆっくりとあがりながら、階段にかかる窓を見る。
 そこには美しいステンドグラスがかけられていた。
 きっとこれも、ガラス職人の手によるものだろう。
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