ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
 まさか、あの公園で彼に声をかけられたときには、こんなにも大切にされるだなんて、思いもしていないなかった。

 ずっと孤独に頑張ってきたレダが、報われたのかもしれない。
 大切にされるということを、この身をもって知ることができたのは、本当に良かった。

「レダ? 何を考えてるの?」
「ギース様のことですよ。初めて会った日のことを」

 私の言葉に、ギース様は笑みを浮かべる。

「あの日、あなたに出会えたのは、僥倖以外の何物でもないよ」
「ふふ。あの時はびっくりしました。絶対騙されてる、って」

「詐欺師かと?」
「まさか! でも、偽装結婚を持ちかけられているかと思いました」

 あの日の出会いで、全てが変わったのだ。
 直前に思い出した前世。
 でも、それだけだったら、家を出てどうにか働いて……それがこの世界でどのくらい実現できていたのかもわからない。

 ギース様に出会えたからこそ、今の私がいるのだ。

「旦那様、ありがとうございます」
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