ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
3:貧乏閣下からのプロポーズ
「あなたに、求婚します」
公爵閣下のその言葉は、彼のイケメン度合いに見惚れて浮かれていた私の心を、一気に冷静な方向に引き寄せてくれた。
「閣下、お戯れが過ぎます。今ここに他の方が通りかかったら、一目で求婚とわかってしまいます」
片膝をまずやめよう。遠目で見ても、プロポーズの仕草なのだから。
そう告げても、彼は首をゆっくりと振るだけ。
何?! 何なの?!
こんな時に、貴族仕草のようなゆったりとした動きを出さなくても良いのよ?!
「戯れではない。本当に……本気なんだ」
「閣下とお話しするのは、今が初めてです。そして、閣下が私を認識したのはおそらく──先ほどの元婚約者との一件でしょう? この流れで求婚される理由がわかりません」
どうにか立ち上がっていただこうかと、手を引っ張ってみる。
が、いくら使用人の仕事をしていて他の令嬢よりは多少体力があると言っても、良い年の男性を動かすことなどできやしない。
それどころかむしろ──
「ちょっ! 離してくださいませ」
「あなたが力をかけたのでしょう?」
閣下にその手を逆に引っ張られ、抱きしめられてしまった。
男性向けの香水の匂いなのか、ふわりと良い香りがする。うっ、香りまでイケメン……!
いや、そうじゃなくて!
公爵閣下のその言葉は、彼のイケメン度合いに見惚れて浮かれていた私の心を、一気に冷静な方向に引き寄せてくれた。
「閣下、お戯れが過ぎます。今ここに他の方が通りかかったら、一目で求婚とわかってしまいます」
片膝をまずやめよう。遠目で見ても、プロポーズの仕草なのだから。
そう告げても、彼は首をゆっくりと振るだけ。
何?! 何なの?!
こんな時に、貴族仕草のようなゆったりとした動きを出さなくても良いのよ?!
「戯れではない。本当に……本気なんだ」
「閣下とお話しするのは、今が初めてです。そして、閣下が私を認識したのはおそらく──先ほどの元婚約者との一件でしょう? この流れで求婚される理由がわかりません」
どうにか立ち上がっていただこうかと、手を引っ張ってみる。
が、いくら使用人の仕事をしていて他の令嬢よりは多少体力があると言っても、良い年の男性を動かすことなどできやしない。
それどころかむしろ──
「ちょっ! 離してくださいませ」
「あなたが力をかけたのでしょう?」
閣下にその手を逆に引っ張られ、抱きしめられてしまった。
男性向けの香水の匂いなのか、ふわりと良い香りがする。うっ、香りまでイケメン……!
いや、そうじゃなくて!