ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~

35:ガラス工房の夜明け

「こちらがガラス工房。それから、この手前の三階建ての建物が、事業所となります」

 私、ギース様、トーオク様の順番で並ぶ。
 ギース様、ご自身のお友達を警戒しすぎなのでは。

「一番上の階は職人さんの中で、泊まり込みを希望する方の寮にします。2階は事務所、1階は小売店とレストランです」
「レストランを併設するというのは、新しいですね。しかも魚介のレストランとは」

 そう。私はこのガラス工房で魚介メインのレストランを開くつもりなのだ。
 そこで使う器も、このガラス工房で作り、小売店で販売する。

 職人さんたちは2階でレストランのまかないを、社食として食べることができるようにして、福利厚生の一環にすれば、ちょうど良い。
 魚介を食べる習慣を根付かせて、この領地の特産にしたいのよね。

「その、福利厚生という考え方も非常に新しい。いや、本当にギースは良い奥さんを貰ったな」
「俺には過ぎた嫁だよ」

 笑いながら、私を抱き寄せる。
 相手が幼なじみだからか、本当に遠慮がない。

「ところで、今職人はルイジアーナ伯爵領にいると聞いたんだが」
「ああ。レダの今は縁を切っている実家だ」
「だよな。その……良いのか? レダ夫人、良いのですか?」

 つまり、職人を引き抜くことで出る不利益が実家に生まれるが、良いのかと言うことだろう。
 私は満面の笑みで返す。
< 121 / 161 >

この作品をシェア

pagetop