ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
「まったくなにも困らない上に、喜ばしいことですわ」

 この世界では領民は自由に引っ越しをすることができる。
 その上、領民を受け入れる側は移住することで民が増えるので、補助金を出すこともあるのだ。

 それは農地を預かる者でも同様で、新しい領地で土地を与えて貰えることが。
 つまり、実家の領地が落ちぶれても、領民はそこまで困ることはない。

 今は私はフォルティア公爵領を盛り上げる立場だ。
 で、あれば職人を引き抜くことにためらいは一切ない。

「よりよい条件を提示した上で、職人の意志でこちらにお戻り頂く予定です。つまり、先方が職人を引き留めることができる条件を出せるか、職人を大切にする意志があるかによりますもの」
「なるほど、確かに」

「なので、一つだけお約束頂きたいことがあるのです」
「お伺いしましょう」
「職人を大切にする、これを守って頂きたく」
「勿論です」

 トーオク様は穏やかにそう答えた。そうして、建物を見上げて笑う。

「必ずや、この領地に良い結果をもたらしましょう」
< 122 / 166 >

この作品をシェア

pagetop