ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~

38:順調なエステサロン

 美味しい魚料理の一歩を踏み出すことができた。
 そこで、今度はホテルのシェフ希望者に、公爵邸で魚料理の練習をして貰うよう、お願いをした。
 公爵邸のメインシェフであるオウガスもノリノリで、もっといろいろな魚料理を考えてみると言ってくれたので、心強い。

 エステの訓練についても、上手くいっていると情報が届いている。
 ただ、それよりも平民の女性にとってはマナーの訓練の方が大変だという。

「確かにねぇ。私も、物心つく前に前世を思い出していたら、多分マナーの訓練は辛かったと思う」

 何しろ、私が生きてきた前世と貴族のマナーのレベルは全く違うのだ。
 いや、きっと前世でも出るところ出たらそういうマナーを求められたのだと思うけれど、私には無縁の世界だったからね。

「奥様、それでも皆必死でやってくれておりますわ」
「ありがとうスプリン。あなたや侍女たちが、心を砕いて指導してくれているおかげよ」

 しかもマナー講師として、なんと王都から人がきてくれたのだ。
 タウンハウスの侍女頭のマティの差配なんだけれど、人脈がすごい。
 だって、その講師って王妃様を指導された方だというのよ。

「いや、さすがに優秀すぎない?」
「長く前公爵夫人にお仕えしておりましたので、人脈はそこそこ」

 ほほほ、と笑う彼女は逞しくも美しい。
 でも、私も全部自分でやるつもりはなかったので、これはとてもありがたい戦力だった。
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