ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~

42:収穫できたよ

 テッサ嬢にアロマの調合をお願いすることにして、しばらくが経った。
 彼女には、我が領が今まで作っていたアロマオイルを、さらに独自に調合することもお願いしている。

「奥様、皆様お揃いです」
「ギース様は?」
「扉の外でお待ちです」
「まぁ! お待たせしてはいけないわね」

 最後に口紅をさしてもらい、完成した『領主の妻』メイクを鏡で見れば、まぁ十人並みとはいえ、前世の日本人の私よりはきれいな顔をしていた。
 その比較ができるから、顔に関してもそこまで自己評価が低くならないで済んでいるのよね。
 そういう意味でも役に立っているわ、前世の記憶。

「ギース様お待たせしました」
「美しく装うあなたを待つことに、苦はないからね」

 部屋の前に用意されている椅子に座っていたギース様は、部屋の扉が開くと立ち上がり、私をエスコートしてくれる。
 コメントまでイケメン。

 今日は、以前農地改革した農家の中から代表者が数名来ている。
 収穫した作物もサンプルで持ってきているというので、楽しみだ。
 皆の待つ大会議室に近付くと、部屋の中の活気が外まで漏れてきているように感じる。

「領主様と奥様がおいでです」

 先触れとして家令のウィントルが室内で声をかけ、その後部屋に入る。
 六名の代表者が、頭を下げて私たちを出迎えてくれた。
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