ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
「皆、頭を上げて座ってくれ」

 ギース様の声に、皆その通りに動く。

「さて、皆の顔を見れば、もう結果は聞かずともわかるが、ぜひ状況を教えてくれ。そうだな。先ずはヨトイト村から」
「はい。ヨトイト村の村長ヨットイです。うちの村はトマトとオジャガモ、ロスネギが冷害以前の収穫量と同じくらいとれました。それから、今回新しく収穫したマメエダモも王都に出荷しても余るくらいです」

 ヨットイ村長は机に置かれている野菜を一つずつ指して、説明する。
 どの状態の土にどのくらい植えたのか。今までと何を変えたのか。
 その後、他の村や町の長たちも、同じように報告と説明をしてくれた。

「うん、どの農地も、レダの農地改革が上手くいったようだね。レダからも何かあるかな」

 私の方を見るギース様に一つ頷き、立ち上がる。

「先ずは皆さん、私のようなポッと出の人間の言うことを信じて、畑を耕し、作物を育ててくださりありがとうございます」

 長たちは、慌てたように手と首を横に振るが、これはやはりきちんとお礼を伝えるべき時だと思っていたので、笑顔で流す。

「皆さんの農地で収穫されたものは、領内と王都への出荷がメインですが、その中の一部を新たに始めた事業にも使わせていただきたいのです。もちろん、お代は正規に支払います」

 私の言葉に、皆が戸惑いの表情を浮かべた。
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