ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
「お待たせいたしました。お料理です」
「まぁ! あなたは先日公爵邸に学びに来ていた、シェフのサマルね」

「奥さま……! 覚えていてくださったのですね」
「もちろんよ」

「あ、あー、サマル? ちょっとレダに近すぎないか?」
「はっ! こ、これは領主様! 大変失礼いたしました!」
「ギース様ったら……」

「ギースのその狭い心はどうにかしたほうがいいと思うよ」
「トーオク、煩い」

 トーオク様とギース様のやりとりに、思わず笑ってしまう。

「あ! それよりも! お食事にしましょう。サマル、説明をお願い」

 気を取り直して、私たちは改めてテーブルの前に並んだお料理を見ていく。

「こちらはシミーロ魚のスープ仕立て、こちらはジーアフィッシュのフライです。こっちのは、アミカ魚とヨットイ村のオジャガオとロスネギの煮付けです」

「ほう。どれも美味そうだな」
「領主様、味には自信を持っております」

 シェフのプライドが垣間見えて、とても良いわ。
 味にプライド。
 食べるのがとっても楽しみになる。
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