ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~

45:領地が落ちぶれたって聞いたけど?

 ホテルの完成も見届け、エステの稼働が始まったことも聞いた。
 マティとスプリンがテストゲストとして行ってきたけれど、翌日も休暇が欲しいくらいリラックスできたと報告してくれている。

 リラックスしたあと仕事に戻りたくない気持ち、良くわかるわぁ。
 休みならあげるけど? って言ったら、大慌てで拒否してきたけれど。

「奥様、旦那様がお呼びです」

 家令のウィントルから声がかかり、部屋を出た。
 ギース様の執務室は、私の部屋から三部屋隣にある。ほんの少し歩くだけで着く、と思いがちだけれど、なんせ公爵邸。
 一部屋一部屋が広いので、思いの外遠いのだ。

 執務室に入ると、満面の笑みで出迎えてくれる。

「レダ! 手紙が来ている」
「手紙? どちらからかしら」
「王都のソワからだ」

 タウンハウスの執事ソワからの手紙?
 小首を傾げながらも、手紙を受け取る。すでにギース様は読んでいるようで、封はあいていた。

「……! まぁ!」

 読み進めていくと、なんと元我が実家から、文句のお手紙が届き、無視をしていたら元家族が門の前まで来て大騒ぎしたとか。

「併せてこの資料を」

 ギース様が手渡してくれたのはルイジアーナ領、つまり元実家の領地の収支表だ。
 こうした表は、国に収められ、正式な手続きを取れば、誰でも見ることができ、複製も取ることができる。

 その資料を見ていくと、明らかに工業生産が落ちていた。
 そして先ほどの手紙。
 この二つから導き出されるものは、一つしかない。
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