ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
「あらあら、我が領にガラス職人が移住したことが、こんなにも領収に影響したのねぇ」

 ころころと笑えば、ギース様もウィントルも笑う。

「あの領は、他に特産物などはなかったかな?」
「そうですねぇ。私は領政には携わっていませんでしたが、学校で学んだ限り、特筆するものはなかったです」

「と、いうことは」
「ええ。他の領民が、補填のための増税に嫌気がさして移住し始めるのは、時間の問題です」

 ガラス職人たちは、無理矢理引き抜いたわけではない。
 きちんと待遇を明示して選んでもらったのだから、そこをフォローしなかった採用側に、責がある。
 特に、ルイジアーナ伯爵領のガラス工房は領営だったので、責任者は領主だ。

「さぁて、これからどうするのかしらねぇ」
「レダ、良かったらこちらの手紙も読むか?」
「そちらは?」

「俺宛のソワの手紙だ」
「良いのですか?」
「なかなか面白い読み物になっているぞ」

 読み物?
 小説風なのかしら。ソワからの手紙が?

 そんなことを思いながら受け取ると、ギース様の言っていることが良くわかった。

「あらあら、まぁまぁ」

 そこには、元家族が我が公爵家のタウンハウスに来たときの様子が書かれてあったのだ。
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