ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~

46:さらば元家族、永遠に

「おい! レダ! レダを出せ!」

 門の外から騒がしい声が聞こえる。
 妻で侍女頭のマティが、眉をしかめて階段を降りてきた。

「あなた、上の窓から見えたのですが、センスの悪い服を着た男二人が門の前で騒いでいます」
「ソワさん、騒いでいる男共がレダ様の家族だと主張しているのですが」

 門番の一人が、状況を伝えに来る。
 なるほど、マティ曰くセンスの悪い服を着た男共は、奥様の元家族というわけか。

 だがまぁ、今は奥様はスジューラク公爵家の令嬢となり、かつフォルティア公爵家の夫人だ。
 元の家族とは完全に縁を切ったとも伺っている。

「不審者として、王都警備隊に連絡をしよう。誰ぞ、裏門から馬を」

 この公爵邸から王都警備隊の詰め所までは、馬に乗ればほんの数分の距離にある。

「それでは、私が」

 乗馬の得意なフットマンが、軽やかに裏門に向かっていった。

「君は門に戻ってくれ。万一を考えて、警備隊が来たらサポートを」
「かしこまりました!」
「それからマティは、上の窓から一部始終をメモしておいてくれ」
「任せてくださいな」

 我妻ながら、悪い顔で笑うなぁ。
 だが、彼女が見聞きしたものを、後ほど旦那様にしたためる必要があるのだ。
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