ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
 馬車を降り、すぐにエステの施術室へ案内して貰う。
 その間ギース様には、厨房やレストランの方をチェックして貰うことに。支配人はそちら側。

 私はエステの総責任者を任せている、元タウンハウスの侍女キハーガと話をする。
 キハーガは私を認めるとすぐに近付き、接客室へと案内してくれた。

「奥様、資料は」
「ええ拝見したわ。この一週間、体調を崩していて見に来られなくてごめんなさいね」

「とんでもないことです。お体はもう大丈夫とお伺いしておりますが」
「安心して。あなた方に移すこともないわよ」
「そ! そんなことは危惧しておりません!」

 慌てるキハーガに、疑ってはいないわよ、と笑って返す。
 美味しいハーブティと、部屋に香るアロマの香り。

「香りはテッサ様の仕事かしら」
「仰る通りです。あの方の香りの調合は素晴らしく、公爵夫人にはその場で体調を伺ったあと、すぐにおすすめの香りを用意されていました」

 想像以上の出来だ。
 前世のエステでも、そうしたサービスをしているところはあったが、私が行けた安い店は、三種類くらいの中から「今日の気分を選んで」という程度だったからね。
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