ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~

48:王妃殿下のおなぁりぃ

「う……嘘でしょ?!」
「嘘ではない。つい先ほど、先触れが届いたんだ。しかもそれは、王宮からの先触れではなく、我が領地の城門兵からの、だ」

 つまり、王妃殿下ご自身からの通達ではないので、万一妃殿下が到着しても、妃殿下として応対してはいけないということだ。

 お・し・の・び!

 この場にギース様がいなければ、確かに王妃殿下だと言うことは、だれも気づかない。
 私含めて、通常国王陛下や王妃殿下にそうそうお目通り叶うことはないのだから。
 何度かお会いしたところで、もしもここに殿下がいても、殿下だと認識できるかは怪しいしね……。

 でも、知ってしまったのよねぇ。
 うぅん。どうするか。
 取り急ぎ、エステの責任者であるキハーガを呼び出して貰った。

「まぁ、王妃殿下がお忍びでおいでになるのであれば、あくまでもこちら側は、高位貴族への対応と同様で問題ないと思うわ。──先触れには、馬車はどんなものと」

「紋章はなし。ただし、高位貴族が乗るようなタイプであったそうだ」
「門兵は良く殿下だとわかったわね」
「たまたま、元王国騎士団だった者が詰め所にいたらしくてね」
「なるほどね」

 王国騎士団であれば、何度も王族に会っているはず。
 ということは、いよいよもって私たちは妃殿下を妃殿下として扱ってはいけないということね。
< 159 / 161 >

この作品をシェア

pagetop