ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
「それにしても、本当に良いサービスだったわ。それに、領内もすっかり活気づいているわね」
「ありがたいことに、領民が皆やる気になってくれまして」
「領民は、領主の鏡よ。特に我が国は、領地の移住を認めているから、良い領主の元には良い領民が集まるようになっているの」

 良い領主には、ヤバイ領民も来るとは思うけど……言う必要はないわね。
 私たち領主がすべきことは、悪貨は良貨を駆逐するとならないように、日々研鑽を続けるだけ。

「ねぇ、ところでずっと気になっていたんだけれどね」

 王妃殿下はとても愛らしい方だ。
 お年はもう40を過ぎている筈なのに、全然衰えを見せない肌に、ケアが知りたくなるほど。

「あなたたち、まだ結婚式してないわよね」

 そんな妃殿下が、にこにこと笑いながら聞いてくることに、イエスとしか答えられない。
 どうしよう。もしもここにきて、式をしていないなら別れろとか言われたら。
 まぁ言われないだろうけど。

 でも、妃殿下が次に口にした言葉は、私が想像していた事なんかじゃ全然なかった。

「私、このままここのホテルに泊まるから、三日後に結婚式をなさいな」
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