ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
婚約者のハティス・オルグナイトも、その隣にいる女性も、私のことをあざ笑う。そうね。今までの私なら、体を縮こまらせて、彼に言われたとおりにしていたでしょう。我ながら、本当に腹立たしい。
わざわざ学園の休日に、家に手紙を届けて呼び出しておいて、不貞を見せつけるとはどういう性癖なのかしらね。休日は家で使用人の仕事をやらされていることが多いから、外出が難しいというのに。
この男は私が困るのを知っていながら、毎回毎回休日に呼び出すのだ。
「あぁ、うるさいわねぇ。婚約者がいるくせに堂々と何度も不貞を働く男と、その相手。しかも二人とも、我が家よりも下の家格だって言うのに偉そうに」
この国は絶対王政の元、貴族がいて、その下に平民がいる。
貴族は公侯伯子男準男爵の順で家格が設定されていて、これは基本的に権力の強さと比例しているのだ。
つまり、伯爵家の娘である私の方が、子爵家の嫡男とはいえまだ当主になっていないのであれば、ハティスよりも立場は上。それに──
「そちらのお嬢さんは確か、コールレッド男爵家の次女だったわね。お望み通り、婚約は破棄しましょう。お二人にはしっかりと慰謝料を頂きますからね」
──男爵家の次女の彼女なんて言わずもがなだ。
わざわざ学園の休日に、家に手紙を届けて呼び出しておいて、不貞を見せつけるとはどういう性癖なのかしらね。休日は家で使用人の仕事をやらされていることが多いから、外出が難しいというのに。
この男は私が困るのを知っていながら、毎回毎回休日に呼び出すのだ。
「あぁ、うるさいわねぇ。婚約者がいるくせに堂々と何度も不貞を働く男と、その相手。しかも二人とも、我が家よりも下の家格だって言うのに偉そうに」
この国は絶対王政の元、貴族がいて、その下に平民がいる。
貴族は公侯伯子男準男爵の順で家格が設定されていて、これは基本的に権力の強さと比例しているのだ。
つまり、伯爵家の娘である私の方が、子爵家の嫡男とはいえまだ当主になっていないのであれば、ハティスよりも立場は上。それに──
「そちらのお嬢さんは確か、コールレッド男爵家の次女だったわね。お望み通り、婚約は破棄しましょう。お二人にはしっかりと慰謝料を頂きますからね」
──男爵家の次女の彼女なんて言わずもがなだ。