ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
「大切な話があると言ったでしょう? 閣下にも関わることなので、早くしてくださいな」

 閣下の前にお茶が出されたところで、私が切り出す。

「まず一つ目。ハティス・オルグナイト子爵子息との婚約は、先方の有責により破棄いたします。理由は不貞。破棄のための慰謝料を、オルグナイト子爵家及び現在の不貞相手のコールレッド男爵家に請求いたします。よろしいですね」
「何を勝手なことを言っているんだレダ!」

「いや、まてターレット。慰謝料を請求するとレダは言っている。つまり、本来であればもう入ってくることのない金が入ってくる。許可しようじゃないか」
「ありがとうございます、お父様。お兄様もよろしいですね?」
「……父上がそう言うのであれば」

 予想通りだわ。
 やはり慰謝料というニンジンは大きいのねぇ。

「だが、レダ。今後お前はどうする気だ。お前のような疫病神の忌み子など、これ以上我が家に置くつもりはないぞ。慰謝料は我が家がお前を育てた養育費として預かるから、無一文で出て行って貰おうか」
「そうそう、そのことできっちりと、お父様とお兄様、そして我が家の使用人たちに確認をしないといけないのですけれどね」

 今まで見せたことのないような、強気な私に、二人は眉をひそめている。
 けれど、閣下の前だからか力で押さえ込むこともできないようで、ただただ睨んできていた。

 以前の私ならば、その一にらみですくんでいただろう。
 ブラック企業でずっと働いていると、思考が止まり、体が恐怖で反応しなくなるようなものだ。

 まぁ、今の私は違うけどね。
 反撃開始よ!
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