ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
「仕事だ!」
「お父様の仕事は命の危機にさらされているのですか?」
「い、いや! だが命をかけて仕事に熱を傾けている」
「命をかけて頑張ることと、実際に命の危険があることは一緒ではありませんけれど?」

 思わず熱くなってしまう。
 この時代であれば、この主張もわからなくもない。
 男尊女卑のような世界だし、子孫を残すことが重要な位置づけだ。

 確かに子をなすことは仕事と言われれば、そういう『時代』ではある。
 でも、だからと言って、命の話をしているときに、言って良い言葉ではない。

「とにかく! 話がずれてきたけれど、お母様が亡くなったことと、そのことで私が虐待されることに、因果関係を持たせるのはおかしな話なのです。それを理由にするのであれば、お父様も同じ立場になるべきでしょう?」

 ここで、隣のギース様がちょいちょい、と私のスカートを引っ張る。何か聞きたいことがあるらしい。

「どうなさいました?」
「一つ質問良いかな」
「ええ、どうぞ」

 この状況に公爵が口を挟んできたので、父も兄もぎょっとしている。

「レダ嬢。あなたはどんな虐待を受けてきたのだ」
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