ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
 情けない声でお兄様が答える。

「ええ。私、学校で習いましたの。自称優秀なお兄様なら、覚えているでしょう?」

 自称、と言ってやったのは、実は彼の成績は下から数えた方が早かったからだ。
 学校で私が良い成績を取ったときに、一度カンニングを疑われた。

 その理由が、兄の頭が悪かったから。
 私と兄は別の個体だというのに、失礼な話だ。
 もちろん、目の前で口頭の質問に全て答えたら、教師に深く謝られたが。

「貴族法第七条。親は子に十分な教育と衣食住を与え、国を守る立場と矜持を育たせねばならない。その上で、必要以上の体罰を与え、それによる損害が子に生じた場合、十分な金品を与えた上で、親子の縁を切り、その旨を国に報告する義務が生じる。これは子からの訴え、同門、或いは使用人からの訴えに於いても調査対象となる」

 隣のギース様がすらすらとそれを諳んじる。
 さすがは公爵閣下だわ。きっと貴族法は全て覚えているのだろう。
 目の前のどこかのお馬鹿さん達とは違って。

 さぁ、引導を渡すときが来た。

「お父様、お兄様。あなた方が行った行為は、貴族法に反することです」
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