ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
 貴族院の門をくぐり、聳え立つ大きな扉の中を進む。馬車から降りるときには、当たり前のようにギース様がエスコートをしてくれる。
 なんだろう……。だんだん慣れてきてしまった……。
 恐るべし私の順応性。

 受付に向かうのかと思えば、個室に案内される。
 嘘でしょ。普通は受付にいって、待合場所で座って時間を過ごすのに。
 ギース様は普通にしているから、これは……上位貴族アルアルなの?

 ふかふかのソファで、ギース様と横並びになる。いや、この並び大丈夫?
 私の立場的に大丈夫?
 まぁ……、今はまだ伯爵家の娘だけれど。

 と、ここでふと気づいてしまった。

「ギ、ギース様。私このあと、伯爵家の籍を抜きます」
「うん、そうだね」
「ということはですよ?」
「うん」

 この人、ニコニコして「うん」だなんて……。
 あんまり誰にでもそんな顔見せない方が良いですよ。あまりにも美しいのに、可愛いわ……。

「私、平民になるから、さすがに公爵家の嫁にはなれないのでは?!」
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