ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
2:貧乏閣下との出会い
「失礼。ルイジアーナ伯爵家のご令嬢とお見受けいたします」
元婚約者──まだ正式な手続きはしていないけど、気分はもう元婚約者だから、元をつけよう──たちから離れ、家への近道のために小道に入ったところで、後ろから声をかけられた。
伯爵家の令嬢と言いながら、侍女の一人も連れていないのは、家族や使用人の嫌がらせで侍女を付けて貰えないせいだ。そんな普通ならあり得ない状況で、よくもまぁ私が伯爵令嬢だと気付いたものだ。
歩みを止め、ゆっくりと振り向く。誘拐であれば、一人で歩いている女性にわざわざ声などかけないで攫うだろうし、暴行を加えようとするにしても同様だ。無理矢理草むらに引き込めば良いので、声をかけて警戒をさせる必要はない。
「……あなたは」
「突然お声がけをしてしまい申し訳ありません」
そこには、堅物公爵として有名なフォルティア公爵閣下が立っていた。
少し後ろにいるのは護衛だろうか。公爵だもんね、そりゃ護衛くらいつく。
そもそもうちの家族がおかしいだけで、貴族であれば男女関わらず一人で出歩くことなど、お忍び以外ではそうそうないのだ。
「私はギース・フォルティア公爵と申します」
元婚約者──まだ正式な手続きはしていないけど、気分はもう元婚約者だから、元をつけよう──たちから離れ、家への近道のために小道に入ったところで、後ろから声をかけられた。
伯爵家の令嬢と言いながら、侍女の一人も連れていないのは、家族や使用人の嫌がらせで侍女を付けて貰えないせいだ。そんな普通ならあり得ない状況で、よくもまぁ私が伯爵令嬢だと気付いたものだ。
歩みを止め、ゆっくりと振り向く。誘拐であれば、一人で歩いている女性にわざわざ声などかけないで攫うだろうし、暴行を加えようとするにしても同様だ。無理矢理草むらに引き込めば良いので、声をかけて警戒をさせる必要はない。
「……あなたは」
「突然お声がけをしてしまい申し訳ありません」
そこには、堅物公爵として有名なフォルティア公爵閣下が立っていた。
少し後ろにいるのは護衛だろうか。公爵だもんね、そりゃ護衛くらいつく。
そもそもうちの家族がおかしいだけで、貴族であれば男女関わらず一人で出歩くことなど、お忍び以外ではそうそうないのだ。
「私はギース・フォルティア公爵と申します」