ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~

19:久しぶりの王城

 今私は、頭にクエスチョンマークが飛んでいる。

「レダ、どうしたんだ?」
「どうして私が今王城にいるのかがわからなくて」
「そんなこと、簡単だろう。俺と一緒に大蔵卿にお会いするからだよ」

 だから!
 どうして!
 私が一緒に!
 そんな大物に!
 会うことになった?!

 私のそれが伝わったのだろう。
 ギース様は笑って──その笑顔は本当に、私をメロメロにするからやめて欲しいのだけれど──髪の毛を一房取り口付けをする。

「ちょっ、そんな……貴族の愛情表現みたいな」
「貴族の愛情表現だからね」

 そうでした。
 もう、私は今冷静に物事を考えられなくなっている気がする。

「あの日、レダが俺に言ってくれたことで、目が覚めたんだ。それまでは、我が領の矜持を汚さずに復興をさせることしか考えていなかった」

 そう。
 ギース様は、というよりもこの世界の多くの貴族は、領地の納税額が減ることは、領地の価値が下がることだと考えているらしいのだ。

 領地の価値が下がるもなにも、今現在領内が大変ならば、すでにそうした意味での価値は下がっている。
 それでも、そんな価値など、一度下がってもまた上げれば良いだけだ。

 領地の価値の上下なんて、所詮貴族の矜持でしかないのだから。
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