ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
「本当に、あなたが私に嫁いでくれることになって良かった」
「あ」
「え?」
「そう言えば、すっかり終ったつもりになっていましたが、私の婚約破棄は成立したんでしたっけ」

 書類を出したまま、領地に行ってしまったのですっかり忘れていた。
 とは言っても、まだ二週間程度だ。成立はしていなくても不思議ではない。

「そちらも、そろそろだと思う。王都に来たら、どちらにしろ法務卿には会わないとならないだろうし、帰りに立ち寄っていこう」
「そうですね」

 法務卿は、今現在の私の義父だ。
 レダ・スジューラクとなれたからこそ、ギース様ともこうして一緒にいられるのだし、本当にありがたい。
 あと、スジューラク卿はイケオジなので、会えるならぜひ会いたいのだ。

「レダが用意してくれた資料も、バッチリだしね。こういう資料作りも学園で学んだの?」
「え、ええ……。あとは独学で少々」

 独学は独学でも、前世で、ですが。
 入社したブラック企業はもちろん研修なんてなかったし、名ばかりのOJTでは、見せてくれないのに見て覚えろの連続だった。

 私もムカついたから、見て覚えろというなら見て覚えます、と無理矢理資料を先輩から奪ってチェックしたっけな……。
 おっと、遠い目になりそうだったわ。
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