ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
「レダはすごいね」
「ちょっ、ここ! ここ王城! キスしようとしないで!」
「でも人はいないから」
「います! 王城使用人の皆様がいらっしゃいます!」

 高位貴族、本当に使用人をカウントしないから困る。
 私は使用人の方々であっても、いちゃいちゃをあまり見られたくないというのに。

 私の叫びに、近くにいた使用人の方々がニコニコと笑っている。
 うう、恥ずかしい。

 それにしても、最初は堅物公爵様と名高いギース様が私にニッコニコで話しかけているのを見て、動きを止めていた皆様方も、流石のプロ意識で今はもうナチュラルに、ご対応くださっている。
 ありがたや……。

「やぁ、待たせたね」

 扉が開き、爽やかなイケメンと、少し疲れた顔をしたイケメンが入ってきた。
 あれ、大蔵卿であるモネイーヌ侯爵って、たしか四十代の筈よね。

 この爽やかなイケメン、どう見ても四十代には見えないんだけど。
 後ろの疲れた顔のイケメンは、疲れているけれど、さすがに二十代っぽいしなぁ。

 あまりじっくり見るわけにもいかず、とりあえずカーテシーをして挨拶をする。

「モネイーヌ大蔵卿、お久しぶりです」
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