ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
 ギース様が声をかけた。あ、やっぱりモネイーヌ侯爵ご本人なのね。
 え、すごくない? 三十代前半に見えるわよ。

「こちらは婚約者のレダです」
「初めまして。レダ・スジューラクにございます」
「ああ! あなたが堅物公爵を柔らか公爵に変えたという」

 え、なにその柔軟剤みたいな扱い。

「ちょっと、妻に変な二つ名を付けないで下さい」
「まだ妻じゃないでしょ」
「妻みたいなものです」

 くだらない言い合いが始まってしまった。
 困った顔をしていたら、疲れた顔のイケメンが笑いかける。
 うっ、疲れた顔のイケメンもなかなか悪くない……!

「レダ? 俺が横にいるのに浮気かな?」
「何を言っているのかわかりませんね。それよりも、早く本題に入って下さい」

 そもそも二人がどうでも良いことで言い合っているから、呆れてアイコンタクトをとるようなことになったのだ。
 私の言葉に、何をしに来たのかを思いだしたようで、ギース様は一つ咳払いをする。
 そうして、ようやく本題に入ったのだった。
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