ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
21:婚約破棄と婚姻届
「レダ。本当にありがとう」
大蔵省の二人が去った後の部屋で、ギース様は改めて私にお礼を告げ、頭を下げた。
「良いのよ。だって、私とあなたはもう、共同体でしょう?」
私の言葉に、彼は弾かれたように顔を上げ、見つめてくる。
そうして、強く抱きしめてきた。
彼の筋肉がしっかりとついた胸板に抱きしめられるのは、嫌いじゃない。
むしろ好きだ。
でも本当に、私は人前で愛を囁かれたり、愛情表現をされるのに慣れていないのだ。
ようやく公爵邸の人々や、領民の前でのそれに慣れてきたというのに、今度はほぼほぼ初対面の王城使用人の皆さんの前で……。
うぅ、これも早く慣れないといけないのだろうか。
なんて思っていると──
「義娘から離れてもらおうか」
「義父さん」
「まだ籍はいれてないから、お前に義父と呼ばれる筋合いはない」
後ろの扉から入ってきたらしい、法務卿のセルディオス・スジューラク公爵の声がした。
私の今の父親だ。イケオジで格好良いのよねぇ。
声もなかなか渋くて……前世の低音ヴォイス声優さんを想起させるわぁ。
「いつの間に入ってきたんですか」
「たった今だ。それよりも、武の家門のお前が私の気配に気付かないとは情けない」
「それは反論できませんが──。悪趣味ですね」
「さて、そんなことを言って良いのか? 朗報があるというのに」
ニヤリ、と笑うお義父様はなかなかに悪役っぽくて良い。
悪役っぽいイケオジはご馳走です。
ギース様はその言葉で、何かに気付いたらしく「もしかして」と目を見開いた。
大蔵省の二人が去った後の部屋で、ギース様は改めて私にお礼を告げ、頭を下げた。
「良いのよ。だって、私とあなたはもう、共同体でしょう?」
私の言葉に、彼は弾かれたように顔を上げ、見つめてくる。
そうして、強く抱きしめてきた。
彼の筋肉がしっかりとついた胸板に抱きしめられるのは、嫌いじゃない。
むしろ好きだ。
でも本当に、私は人前で愛を囁かれたり、愛情表現をされるのに慣れていないのだ。
ようやく公爵邸の人々や、領民の前でのそれに慣れてきたというのに、今度はほぼほぼ初対面の王城使用人の皆さんの前で……。
うぅ、これも早く慣れないといけないのだろうか。
なんて思っていると──
「義娘から離れてもらおうか」
「義父さん」
「まだ籍はいれてないから、お前に義父と呼ばれる筋合いはない」
後ろの扉から入ってきたらしい、法務卿のセルディオス・スジューラク公爵の声がした。
私の今の父親だ。イケオジで格好良いのよねぇ。
声もなかなか渋くて……前世の低音ヴォイス声優さんを想起させるわぁ。
「いつの間に入ってきたんですか」
「たった今だ。それよりも、武の家門のお前が私の気配に気付かないとは情けない」
「それは反論できませんが──。悪趣味ですね」
「さて、そんなことを言って良いのか? 朗報があるというのに」
ニヤリ、と笑うお義父様はなかなかに悪役っぽくて良い。
悪役っぽいイケオジはご馳走です。
ギース様はその言葉で、何かに気付いたらしく「もしかして」と目を見開いた。