ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
「ああ。ギース殿の予想通りさ。ちょうど本日、レダの婚約破棄が成立した。おめでとう」

 その言葉に、私とギース様は思わず顔を見合わせた。

「それってつまり! 私は自由っていうこと?!」
「それってつまり! レダと結婚できるということですね?!」

 同時に口にした内容の違いに、ギース様が少々寂しそうな表情を見せたけれど、そこは許して欲しい。
 ずっと『レダ』を縛っていたものの一つが、あの男、ハティスとの婚約だったのだから。

「これから、二人の婚姻届を受理しようと思う。すでに預かっていた書類はあるが、せっかく二人が揃っているんだ。今改めて、私に提出しなさい」

 お義父様はそう言ってギース様に書類を手渡す。
 そこにはすでに、全員のサインが入っている。

「ギース様」
「うん?」
「その紙、私も一緒に持ちたいです」

 たったそれだけの言葉なのに、ギース様はとてもとても嬉しそうな表情を見せる。かわいいな……。
 二人、改めてお義父様──いいえ、法務卿の前に立つ。
 そうして、うやうやしく一枚の婚姻届を提出した。
 法務卿はそれを受け取り、確認する。そうして笑った。

「確かに受理をした。二人とも、高位貴族に恥じない、そしてお互いを思いやる温かい家庭を築きなさい」

 きっと前半は法務卿の言葉。そして最後の言葉はお義父様としての言葉なのだろう。
 私たちは、その言葉を噛みしめながら、はい、と返事を返した。
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