ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~

23:も、もしや初夜?

 お風呂に入り、いつもより入念にマッサージをされて、なんだかいつもよりうっすい、ひらっひらの夜着を用意された。
 髪の毛は軽く片側に纏められ、リボン一つで、それも結び目がかなり緩くされている。
 ここまでされれば、さすがに気付く。

 こ、これは……初夜なのでは。

 確かに、婚姻届が受理された今日は、結婚が成立した日だ。
 つまりは、この世界で言うところの所謂一つの、体を許しても良い日、と言うわけで。

「まままま、まじかぁ……。心の準備……心の準備……」

 一人大きなベッドのある夫婦の寝室でお茶を飲みながら、思わず口にしてしまう。
 この体では未経験だが、前世では子持ちだったので勿論経験はある。
 でも、それとこれとは別だ。

「うぅん。でもまぁ、ギース様なら」

 これがあの、元婚約者ハティス・オルグナイトだったとしたら、とにかく目をつぶって心を閉ざして、としていたことだろう。
 でも、相手はギース様だ。
 彼のことは信頼できるし、愛情もしっかり感じる。

 ただ、一つ気になるのはこの世界では、避妊具がまだないのだ。
 今の公爵領の貧乏具合では、妊娠したとしても、少々大変なのではなかろうか、とも思う。
 そんなことをツラツラと考えていると、ノックがした。
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