ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
「それは、きっと悪い方面で有名なのでしょうね」
「いえ──それが悪いことかどうかは、受け止める人によるかと」
「なるほど。あなたにとっては、どうでしょう」
「私にとって? そうですね。──大変だなぁ、と」

 私の言葉に、閣下は一瞬ぽかんとしたお顔をされる。どうしたのだろうか。
 どうしよう。思ったことをそのまま言ってしまったけれど、不敬罪とかになってしまうだろうか。今は負債がある公爵家だとしても、その血筋は王家の傍系だ。
 と、とりあえず謝った方が良いだろうか。

「思った通りのご令嬢だ」

 私が謝ろうと、姿勢を正したタイミングで、閣下が微笑んだ。

「……ぐ」
「ぐ?」
「あ、い、いえ、なんでもありません」

 やばい。ついさっきまで、無表情だった閣下が少し微笑むだけで、ものすごい破壊力がある。
 元婚約者の軽薄な残念イケメンとは雲泥の差だ。やはり品のあるイケメンは、無表情でも微笑んでも美しいのだな。私は顔は閣下の方が断然好み。まあ、とは言っても、私には無関係の殿上人なんだけどね。例え貧しくなっても、公爵家は公爵家だもんね。

「ところで閣下、私にどういったご用件が?」
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