ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~
 そう。
 この世界では、まだ福利厚生という考え方がない。

 なので、働く場所を選ぶには給料しか判断基準がないのだ。
 そこで、住居や休み、それに食事補助などを提案することで、よりよい職場であることをアピールしていく。

 そんなことを伝えていくと、ギース様の瞳がびっくりするくらい大きく見開いた。

「レダ! それは良いアイデアだ。素晴らしい。新しい視点だから、他にすぐに真似されることもないだろう」
「ええ。それに、こう言っては何ですが、多くの職人が移住したルイジアーナ伯爵領の工房は、どうやら人使いが荒いみたいなので」

「ほう?」
「我が領の職人の行き先が、ルイジアーナ伯爵領だと執事のソワに聞いてから、詳細を調べて貰うようお願いしてたの」

 元実家のルイジアーナ伯爵家は、良くも悪くも領主が手をそこまでかけない領地だ。
 なので、領民たちはそれぞれ自由にやっている。

 だからこそ、ブラックな職場が多く発生していたりすると、予想していた。そしてそれは当たりだったのだ。
 まぁ、この世界では、それがブラックであるかどうかなんて、きっと理解していないんだろうけれど。

 でも、ブラック、ダメ、絶対。
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