本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
「送ってもらえるならこのまま帰っちゃおうかな」

「おっけ。もう行ける?」

「うん」

亜里沙が持ったリュックを俺はその手から取る。

「行こうか」

そして亜里沙の手を取り指を絡めるように繋ぐと、控室を足早に出た。

「走るぞ」

ここはビルの三階。

「え!?」

「転ぶなよ?」

「ちょっ、まっ!」

亜里沙は俺に手を引っ張られるがままなんとか走りながら階段を下りる。

「はははっ! ほら見つかる見つかる!」

途中何人かとすれ違って驚いた顔をされたけど、それはLiSAの存在であって俺には気づいてないはずだ。

キャップもマスクもしてるから。

ビルを抜けて外へ出ればあとはもう大丈夫だ。

「ちょっ」

「ここまで来れば大丈夫だろ」







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