本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
亜里沙はブルっと身体を震わす。

俺はすかさず自分が着ていたダウンジャケットを亜里沙の肩にかけてやった。

「はは、ブカブカ」

かわよ。

「あ、ごめん。ありがとう。し、獅音も寒いのに」

俺の名前を呼ぶ時だけヒソっと声のボリュームを下げる亜里沙が面白い。
気を遣ってくれてるようだ。

「大丈夫。車すぐだから」

「なんか優しすぎて怖いんだけど」

そう言ってクスクス笑う亜里沙。

「ははは。なんだよそれ。ほら行くぞ」

そして二人肩を寄せ歩いて車まで向かうも、やはりすれ違う人から見られる。

190センチの大男と、黒の薄いストッキングを履いて綺麗な脚をさらす美女は目立つな。

男の目線がどうしても気になる。

俺って案外やきもち焼きなのかもしれないと自覚した。
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