本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する


「亜里沙!」

俺もすかさず駆け寄り消防士から亜里沙を預かるように捕まえる。

ここから見る限り火元は一階から上がってるようだ。

「二階なの! あそこの二階! なんで!? もう少しだったのに!」

「もう少し!?」

「何で今なの…」

そう言って崩れ落ちるように亜里沙は地面に倒れそうになり、俺は肩をガシっと押さえ支える。

「亜里沙、まず危ないから下がろう」

消火活動をするのを離れたところで見る事しか出来ない。

近所の住人なども皆んな固唾を飲んで見守っている。

「亜里沙、どういう事? さっきの」

亜里沙は首を横に振って真一文字に口を閉ざす。

言いたくないらしい。

そもそも、亜里沙の家があの年期の入ったアパートというのも違和感しかない。

親父の会社は給料が良いし、それにライブで副業まで隠れてしてる。

金はあるはずだよな?
こんな所に住むか?
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