本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
「亜里沙っ…」

どこか切なそうな表情と声。

「獅音っ…」

まるで恋人同士のような戯れに、私の脳はすっかり思考を停止し、次から次へと打ち寄せてはかえす快楽の波に飲み込まれてしまった。

「頑張れって…言って…」

獅音の瞳がぐらっと揺れて、私の真意を探ろうとしている。

お願い。
今は何も聞かずにそう言って…

「頑張れ、亜里沙」

獅音はそんな私を見て何も聞かずに応えてくれた。

「獅音っ…あっ…はぁっ…!」

「くっ…亜里沙っ…頑張れっ…」

何故私にこんな事を言わされてるのかもわからないはずなのに、獅音は私を強く抱きしめて身体を密着させる。

本当に、どこからかまた力が湧いてくるようなそんな感じがした。

「私…また頑張るっ…」

「ああ。俺が…ついてるよ」

決してこれが本当に思っている事じゃないとしても、今の私にはその言葉が、この温もりが、へし折れそうな心を癒すには十分だった。


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