本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する


「ははは。さすが御曹司」

こう言ったらなんだが、業界では俺をゴシップネタに使うような身の程知らずの馬鹿はいない。

でも圧力をかける前に確認しておきたい事がある。

「この記事を書いた奴を呼び出せ」

「くくくく。そう言うと思ってもう呼んでる」

その時デスクの電話が鳴り、山ちゃんが出た。

「通してくれ」

そう言って電話を切って俺を見る。

「さっそく来たみたいだ。それから…はい」

山ちゃんは俺に一枚の紙を渡す。
俺はそれを見てフッと笑う。

「さすが山ちゃん」

すると間も無くドアがノックされ、社員に案内され連れてこられた一人の男が部屋に入ってきた。

ボサボサの頭に、無精髭。
ミリタリージャケットにデニム。

「へぇ。あんた社長もしてたのか」

そんな事を言って俺を見ながら勝手にソファに座る男。
歳は45歳前後というところか。
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