本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
「一ノ瀬グループはご存知で?」

「は? 知らない奴いないだろ」

当たり前の事を聞くなとばかりの顔で見られる。

「ここの会社や、俺の本名までは調べなかったのかな?」

「は?」

山ちゃんに目で合図すると、山ちゃんは俺の名刺を青田の前に置いた。

青田は俺の名刺を見るなり目を大きく開けて、震え出した。

「まぁ、業界人にくらいしかあまり知られてないんですがね。お分かりいただけたかな?」

「あ、あんた…ギタリストじゃ…」

俺はニコっと微笑む。

「それで? 誰にこれを聞いた?」

俺は記事をトントンと指で叩く。

「そ、それは…」

「言え」

ギッと睨むと、青田はさっきまでの威勢を無くし観念したように話し出した。

「大沢伸宏(おおさわのぶひろ)と名乗る男が会社でたまたま一人でいた時に急にやってきて…。金はいらないから記事を書いてくれと頼まれた」

俺は山ちゃんに合図すると、山ちゃんは部屋を出て行った。

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