本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
「亜里沙ー」

獅音は部屋のソファで足を組んで両手を背もたれに広げて天井を向くようにのけぞりながら私の名前を呼ぶ。

家ではこうですよ。
私はこっちの獅音の方が見慣れてますよ。

「なにー」

キッチンから返事をする。
今日は煮込みハンバーグ。

美味しそう。

「結婚式しよー」

「うん。え?」

ハンバーグを見ながらヨダレを垂らしそうになるのを我慢していて適当に返事をしてしまった。

「結婚式!?」

「おん。結婚式」

私は一度火を止めてバタバタと獅音の元へ走る。

この家広いのよ。

「する! するする!」

そう言って飛びついた。

「ぐぁっ!」

私に飛びつかれた獅音は変な声をあげるも抱きとめてくれる。

「ははは。どこでする? 海外にする?」

「え!? 海外!?」

「ああ。お前行った事ないだろ?」

「ない!」

あ、でも…

私呼べる家族いない…






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