本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する

「お腹を痛めて産んだ親にそんな事言う？」

申し訳ないけど、言う。

「で？　なんかよう？」

「久しぶりに会ったんだもの。お茶でもしましょう？」

は？
こんな時間から？

「やだよ」

「水臭いわねぇ」

そして母親の左手に指輪が付いていない事に気づいた。

まさか…

「また離婚したの？」

「ああ。ええ。あの人はもういらなくなったから」

自分の左手の薬指を見ながら嘲笑うかのように手をヒラヒラさせる。

何言ってんの？

「亜里沙、ごめんなさいね？　あの時、あの人が子供は連れてきて欲しくないってわがまま言うものだから…。でも私はちゃんと聞いたわよね？　あなたが一緒には行かないって言ったんだもの。仕方ないわよね？」

そう言って全く悪気のない感じで笑っている。