本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
「これでいいかな? あとはそっとしててくれる?」
獅音が一言そう言えばあれだけ群がっていたカメラマンがスーッと引いて道を開けてくれる。
「ありがとう。いい感じに載せてくれよ」
なんて言ってまた歩き出した。
「ふふふ。凄いね」
「だな」
そして誰も見ていないわけじゃないのに、歩きながら私のこめかみにまたキスを落とした。
周りからは案の定悲鳴が聞こえ、思わず二人で目を合わせて笑ってしまった。
獅音の車に乗りまた手を繋ぐ。
ぎゅっと握れば返事をするみたいにぎゅっと握り返す獅音。
「獅音の手、好き」
「手だけ?」
なんて言って笑ってる。
「初めてこうして車に乗った時も手繋いだね」
「はは。そうだったな。金置かれたけどな」
「覚えてるの!?」
「忘れるかよ。インパクトしかないだろ」
「いやチケット代かと思ったんだもん」
「ククク。最高だよ亜里沙は」
そう言って片手でハンドルを持って信号待ちで私を見る。