本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
そして店を出て、アパートの近くで下ろしてもらう。

「ご馳走様でした。ライブも楽しかったし最高だったよ。ゆっくり休んでね」

「あ、ああ。うん。ありがとう」

なんか歯切れ悪。

「どうしたの?」

「ここでいいの? 部屋まで送るよ?」

いや、それは勘弁してくれ。
これはあなたの為でもあるのよ。

あんなボロアパート見たら失神するでしょ。

「大丈夫。行って! さよなら!」

私は外から手を振る。

「そ、そう? 亜里沙も早く中入れよ? なんかこの辺暗いし」

父ちゃんか?

「大丈夫だって。あと走って帰るから。お休み!」

「おう。お休み」

そう言って不満そうにしながらもやっと車を出した獅音を見送り、私もようやくボロアパートの中に駆け込んだのだった。
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